入門という知らない世界に飛び込むフェーズを過ぎたら、デザインのスキルを鍛えていくのと同じです。インプットをして、アウトプットを披露し、フィードバックをもらって改善していく。その反復的な行為を続けていくことに集中しています。
という言葉で締めくくった、書籍版のデザイナーの英語帳のコラムを書いてから5年が経とうとしています。
書籍版の本題であった単語や例文群とは別に、デザイナーとしての私の英語との付き合いを綴っていた4つのコラムは、似た苦しみを感じたり、同じ挑戦をしていた読者の皆さんから少なくない量の共感の言葉をもらい、その度に恥ずかしくも嬉しい気持ちになることがありました。
書籍版の後に始めたこのニュースレターでは、その後に学んだ新たな言葉や言い回しについて書くことが多く、書籍版のコラムのような文章を書くことが少なくなっていました。そこで、共感の言葉をかけてくれた読者の方や応援してくださっている方、興味のある方に向けて、コラムの続きとなる近況報告を綴ってみたいと思います。
今後、いくつかに分けたサポーター向けの記事としてお送りするので、お付き合い頂けると嬉しいです。
仕事のベースがアメリカになる
書籍版のコラムを書いたのは All Turtles への入社から1年が経った頃でした。今となっては入社6周年が見えてきています。働きはじめた頃は、自信を持てない自分を「アメリカでデザイナーとして働けているだけですごい!」と鼓舞しながら、日々直面する未知のものへ、どうにか立ち向かっていたところから、ずいぶんと遠くに来たように思います。最近は特に耳にするようになったレイオフ(解雇)に見舞われることもなく、プロのデザイナーとしての仕事に取り組めていると言っても嘘ではなさそうです。
サンフランシスコにあったオフィスでは無料のランチやコーヒーがふるまわれ、デザインとしての美しさや、遊び心もある居心地の良い空間は、いかにもシリコンバレーのテック企業のオフィスらしく、その内側で働けることにとても感激したのを覚えています。
コロナ禍からは完全なリモートワークへとシフトし、アメリカのテック企業が新しい働き方を模索する姿を、中から目の当たりにするなど、日本で働いていた自分をはっきりとは思い出せなくなるくらいには、自分の仕事のベースはアメリカになったと認識するようになりました。
(最近は違うものになりましたが)勤め先は一般的な有給休暇の代わりに Unlimited PTO という上限なく休暇を取れる制度を採用していて、必要なときに必要な分の休みを取ることができます。制度への賛否はありますが、うまく使うと長期休暇をカジュアルに取ることもできます。
デザイナーとしての仕事
All Turtles はプロダクトスタジオという形態で様々な企業を支援する性質上、多くのプロダクトに携わる機会に恵まれました。デザイナーやエンジニアなどプロダクトの開発に関わる人だけでなく、プロダクトオーナーであるスタートアップのファウンダーなど、様々な立場の人と話す場面も多く、英語を実践的に使える良い環境に身を投じられ続けています。
入社当初に任されたのは新しいアプリのロゴのデザインの仕事でした。前任のデザイナーが残した初期のコンセプトを引き継ぎながら、アプリのコンセプトに合わせてロゴとアイコンを作っていきました。