お世話になっていたデイケア(乳児から就学前の幼児の保育サービス)の先生が、保育士として雇われている身から独立開業するにあたり、ロゴなどのブランドアイデンティティのデザインを任せてもらいました。
最終的なデザインをソーシャルメディアへ投稿したところ「アメリカでも子ども向けのものには柔らかい色使いが好まれることが多いのでしょうか」のようなコメントを頂きました。「その傾向があると思います」というお返事になると思います。
しかし、傾向があるからその色を選んでいるのではなく、裏にあるデザインプロセスを経た意思決定によるものです。この記事ではそのプロセスについて紹介したいと思います。
ターゲットのための色使い
乳幼児は視覚が発達の過程にあるため、コントラストが強い方が認識しやすいといった理由から、乳幼児向けの絵本やおもちゃ、お菓子のパッケージ1には鮮やかな色使いがよく見られます。
他方で、オーガニックの服やベビーベッドのブランドなど2では、茶色やベージュ、パステルカラーといった柔らかい色合いが取り入れられていることも多いです。ターゲットや製品の特性に合わせた色が選択される傾向が現れていると言えます。
デイケアのブランディングに取り組むという背景では、訴求するターゲットのほとんどはデイケアに通う子どもの保護者たちになるため、柔らかい色合いが選ぶことになる予感はします。
ビジュアルの方向性
まず、想定するターゲット像(保護者たち)を先生からヒアリングするところから始めました。保育料の価格帯や、施設の立地から、想定されていたのは20-30代の共働きの両親、特に病院やテック企業に勤める専門職従事者やアーティストなどです。
(保護者である自分も含め)ミレニアル世代が中心であると考え、この世代が好むとされる柔らかいパステルカラーやグレーのナチュラルな色彩と、シンプルでクリーンなビジュアルを全体の方向性として設定しました。
ビジョンを宿したデザイン案
ブランドにこめる思いは、ターゲットに合わせた色彩よりも大事なことであり、そこに他のブランドと差別化するユニークさや愛着が宿ります。