アイデアを考え出す、思いつく come up with
デザイナーは常に仕事の中で、新しいアイデアを思いつき、提案をすることが求められます。
アイデアを説明する一言目は直感的に I think… で話し始めてしまいます。アイデアについて話すのが仕事なので、これを飛び抜けた回数で繰り返すことになり、どうも単調で、語彙の乏しさを感じてしまいます。
think では表現できない、「こういう案が出てきた」というニュアンスで話すときに come up with が使われます。辞書1を引くと
to think of a plan, an idea, or a solution to a problem
計画やアイデア、問題に対する解決策を考え出すこと
とあり、問題解決や新しいアイデアを考え出す場面にふさわしい表現と言えます。
例文
I’ll come up with new interaction ideas for the timer screen.
タイマー画面の新しいインタラクションのアイデアを考え出します。
How did you come up with the new logo design? It’s so cool!
どうやって新しいロゴデザインを思いついたの?すごくいいね!
Coming up with a cool app name is harder than I thought!
かっこいいアプリ名を考えつくのは思ったより難しい!
The brand design team came up with a bold new logo for the rebrand.
ブランドデザインチームが、リブランディングのために大胆な新しいロゴを生み出した。
人やグループが主語として使われていることが多いですが、議論やリサーチの結果など、物を主語にすることで、そのアイデアが「生まれた」という表現に転じることもできます。
The brainstorming session came up with a number of new concepts for improving the mobile app experience.
そのブレストによって、モバイルアプリの体験を改善するためのいくつかの新しいコンセプトが生まれた。
TIPS
デザインのアイデアを come up with する方法
どのようにデザインのアイデアを生み出しているのかは人によって様々です。
得られている情報から導き出す人もいれば、突然頭に降ってくるものを描くなんて人も居るくらいです。自分がアイデアに辿り着けるパターンをデザイナーは誰しもひとつくらいは持っているはずです。
どのような方法でアイデアを生み出しているかに注目すると、それをもっと素早くできるように意識しやすくなったり、逆に慣れない手段をあえて選んで、普段とは違った性質ののアイデアを見出すこともしやすくなります。
私が特に使い慣れている方法は、「言葉」を発想の起点にすることです。特にロゴのようなビジュアルデザインを考えるときに使います。得られている主たる言葉から連想ゲームのように、思い浮かぶ言葉を書き出していきながら、対象について持つイメージやニュアンスを強化していきます。
■ Dispatch
社内の Slack bot のアイコンを作る仕事でのことです。そのツールは “Dispatch” 呼ばれていて、軍隊で人を派遣すること、報告をすることを意味する言葉でした。その言葉を起点に関係する言葉を散りばめていきます。
例えば、軍隊が派遣されている姿から「素早く」活動している様を思い浮かべたので Quickly、その軍隊が「トランシーバー」を持って報告をしている姿から Walkie Talkie といった言葉が並びます。
並べた言葉やそのグループを、社内ツールのアイコンのモチーフとして用いました。
言葉のみを扱うので、特殊なスキルが必要なく、デザイナー以外のメンバーを巻き込むことで、モチーフの種となる、より多くの言葉を集めることもできます。社内ツールということもあり、それを使う人、つくっている人が Dispatch に対して思っていることを間接的に吸い出すこともできますし、私が知りもしない語彙や言葉の繋がりを知る機会にもなり、実りのあるものでした。
■ Miruni
ウェブサイトへのフィードバックを視覚的に集め、タスクとして管理をするツールの命名を含めてリブランディングに取り組みました。Dispatch のように決まっている名前から発想を始めるのではなく、新たに名前を付けることが目的のひとつでした。