先日の近況報告の続きをお送りします。無事にアメリカで英語を使ってデザイナーとして働けるようになり数年が経ち、デザイナーとしてのキャリアをどうするかという、ずっと先延ばしにしていた悩みと向き合うことになりました。
Senior Designer から Senior Product Designer へと肩書きが変わってからのしばらくの間は、ちょうど仕事もうまくいかないなと落ち込んでいた時期でもありました。日々の仕事はこなせているものの、飛び抜けた評価を得ているわけでもなく「このままで良いのだろうか」と自信を見つけられずに居ました。
肩書きと仕事の不一致もひとつの理由だったと思います。Product が冠されたものの、仕事ではそのまま Brand Designer の領域とされるものにも取り組んでいたため、自分が中途半端な存在であるかのように感じていたからです。逆に Brand を冠していたとしてもきっと同じだったでしょう。
ポートフォリオで伝えるべきメッセージ
肩書きに対する違和感が調子の悪さに関係しているのかもしれないと考え、自分はどのようなデザイナーなのか、市場で実際に価値があるのかを整理するために、自身のポートフォリオを更新することにしました。アメリカでの就職活動に合わせて作ったきりで、アメリカで働き始めてからの自分が反映されていませんでした。
今の悩みを視点にして、自分が素敵だなと思えるデザイナーのポートフォリオを見て回ると、共通したものがあることに気づきました。彼らはいずれも「自分がどんなデザイナーであるか」をはっきりとメッセージにして伝えているのです。
Gareth Hughes という Design Director のポートフォリオには
Brand & Digital Design Director for plant-friendly projects
環境に優しいプロジェクトのためのデザイナー
とあり、気候変動やサステナビリティに関連する仕事が並んでいます。デザイナーの友人である Justin Edmund のポートフォリオは
I make creative tools
私はクリエイティブなツールをつくります
という見出しで始まり、実際に携わっていた Figma や Pinterest といったクリエイティブなツールが実績として続いています。
私のポートフォリオには、これまで手がけた幅広い分野の仕事を並べていました。数で圧倒できるという利点はあったもしれませんが、逆に一貫性がないとも言えるものでした。
かつてコンタクトをくれた他社のリクルーターに「プロダクトデザインとブランドデザインどっちがやりたいの?」尋ねられ、答えあぐねたことが強く記憶に残っていたのですが、何に強みがあるのかが分からないポートフォリオがその質問をさせていたのだと気づくのには、ずいぶん時間がかかりました。