デザイナーの英語帳

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終了する、廃止する sunset

終わりと始まりのための終わり

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灰色ハイジ
Sep 07, 2025
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sunset は、そのまま「日没」を意味しますが、何かが自然に終わりを迎える様子から、プロダクトやサービスの「終了」や「廃止」を意味としても使われます。

テック業界のニュースで目にしていたことくらいはあったものの、比喩的なもので日常会話ではあまり使わないものだろうと思い込んでいました。ところが、実際に携わっているプロダクトが生まれ変わることになった際に、業務の中で頻繁に使われ、実用されている様子を目の当たりにしました。

Sunsetting a product means intentionally retiring an End-of-life Product from the market. It’s the process of winding down product development, support, and availability.
プロダクトの終了(サンセット)とは、寿命を迎えた製品を意図的に市場から退かせることを意味します。これは、製品の開発・サポート・提供を段階的に終了させていくプロセスです。
Sunset a Product Without Losing Customers

辞書を覗くと名詞では単に「日没」、あるいは比喩的な意味として歳をとることによる「衰退の時期」という意味があるそうです。動詞になると

to cause or allow (something, such as a law) to lapse, end, or be terminated

(法律などを)失効させる、終了させる、または廃止されるようにする/許可する

のような意味が現れます。

もともと法律・政治の分野で、指定された日付に自動的に失効する sunset provision(サンセット条項)として使われていた表現が、ビジネスや技術分野にも広がり、計画的な終了を指す語として定着していったようです。

Sunsetting: Business Definition and Meaning | NanoGlobals

単に「停止する」や「削除する」よりも、計画的で段階的な終了というニュアンスを含み、比喩的な表現のためか、ポジティブな印象をユーザーに与えたい意図もあるようです。あえてドライな響きで直接的な表現にすると retire (撤退する)、shut down(停止する)でしょうか。

例文

We decided to sunset our analytics feature by the end of this year.
今年末までに分析機能を廃止することに決めました。

The team is planning to sunset this feature due to low user engagement.
ユーザーエンゲージメントが低いため、チームはこの機能を終了する予定です。

The design team is sunsetting outdated components one by one.
デザインチームは古いコンポーネントを一つずつ廃止しています。

終了に向けての営みを強調するかのように動名詞の sunsetting が使われることもあります。

We're planning the sunsetting of the legacy UI components over the next six months.
今後6ヶ月間で、レガシーUIコンポーネントの段階的廃止を計画しています。

The sunsetting of the mobile app will redirect users to our responsive web experience.
モバイルアプリの廃止により、ユーザーはレスポンシブウェブ体験にリダイレクトされます。

名詞として sunset よりもあえて動名詞を選んでいるように響きませんか?


FEATURE

プロダクトを終了するときのクリエイティブ

プロダクトやサービスの終了を知らせるときのデザインを観察すると面白い性質に気づきます。終了に到った理由がビジネスの縮小のようなネガティブな場合には、割かれたリソースの少なさが浮き彫りになります。

逆に、新たなバージョンや他のプロダクトへの移行が理由のときは、終了という事実がそのままネガティブに伝わらないように、様々な工夫を凝らしたものも見ることができます。私が記録していた(そして取り組んだ)プロダクトの終了にまつわるクリエイティブをいくつか紹介します。

■ Read.cv

デザイナーなどのクリエイターを対象とした新しい形の SNS を形成していた Read.cv が開発元ごと Perplexity にジョインする形で、サービスの終了がアナウンスされたメールのグラフィックは墓石がモチーフとなっていました。

色使いが特徴的で Vaporwave という2010年代初頭にWeb上の音楽コミュニティから生まれた音楽のグラフィックによく見られるような非現実的なネオンの色彩を用いていました。少し前に終わってしまったが時代を築いたビジュアルを表現していると理解しました。

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