2024年も「デザイナーの英語帳」をどうぞよろしくお願いします。今回の記事は普段と少し毛色が異なりますが、デザイナーとしてのスキルについて綴ったものをお送りします。新年の仕事が始まる前に、ゆっくり考え事をするきっかけになったら嬉しいです。
何ができたらいいの?
自分自身のスキルを磨くことに真剣に向き合って来なかった私がいます。「デザイナー」として何かを考えて、何か良いものをつくり続けられていれば、社会がその時点での自分をそのまま受け入れてくれていたことに甘えていました。
「この先、私は何をできるべきなのか」という自問に学生の頃に悩まなかったことは幸運でしたが、後になってぶつかるとは思ってもみませんでした。目の前の仕事に良い結果を出し続けることには集中できましたが、そこから自分がどうなるかということには無頓着すぎたのです。
特に最近の1年は、デザイナーとしてのスキルについての解像度を高める時間を過ごしていました。職場で与えられているタイトルが、私のどのようなスキルを認めているのかを理解して、更に何を満たせば昇格をするのかについてマネージャーと意識的に議論を続けています。
「タイトルや職位に細かな意味は無い」なんて話はテック業界でも過去のものになりつつあり、その定義を明文化し、社外にさえ向けて発信している会社も多くなってきています。プロダクトデザイナーという職種の中だけでも、自分が改めて何ができるのか、何をできるようになるべきなのかの目星をつけるのも難しくありません。
公開情報から知る
「デザイナーとして必要なスキル」を検索してみて、そこに並べられているものを見ても、当然すぎることだけが書かれていたり、何となく曖昧な情報から雲を掴む気分になることも少なくありません。実際にプロダクトデザイナーが身を置く組織が発信する情報に触れ、具体的に想像できて現実味のあるスキルの存在を知るのが近道です。
日本語の情報を探してみても、求めるスキルや対応する職位について公開している組織が時折目に入ってきます。例えば、GMOペパボはデザイナーに必要なスキルの領域を定めています。オールラウンダーであることよりも、特定の領域で高い専門性を獲得することを尊重し、会社として何を優先して欲しいかの意図も現れています。また、メルカリの UX Design チームは、会社のミッションから導いた行動指針に成長段階を与えたラダーを公開しています。こういうものがつくれるといった、デザイナーとしてのプリミティブなスキルというよりは、組織の中でどのようなアクションが出来るかに集中しているのがわかります。どちらの会社もデザイナーのキャリアについて真剣に取り組んでいる姿が素晴らしいですね。
加えて、求人情報に「求めるスキル」のような項目も具体的に書かれているものが参考になります。逆に、ここを丁寧かつ具体的に記述できている会社というのは、それだけデザイナーのスキルやキャリアについて熟慮をしていることを端的に示しているとも言えます。
スキルを高めることに腐心するのは悪いことではないですが、自分がやりたいことや、ありたい姿を忘れて、その組織の求めるものに最適化してしまわないように気をつけたいところです。免許や資格のような会社間で互換する仕組みがある職種ではありませんが、多くの組織が共通して言及しているスキルを押さえておくというのも良いアプローチと言えそうです。
Figma Product Design & Writing Career Levels
Figma が、プロダクトデザイナーに求められるスキルについてうまく分類、レベル分けをして公開しています。これが特に洗練されているのと、多くのデザイナーが愛好するプロダクトを生み出している Figma という会社が求めるスキルというのは知っていて損はないので紹介させてください。