クレジット
既存の意匠を組み込むときに、その制作者や権利者の情報をデザインの中でどのように表現するのかを議論することがあります。日本語では、それらの表記を指して「クレジット」と言うので、その元になったであろう credit を用いて
I inserted the creator credits.
制作者のクレジットを挿入しました。
と言ったことがありました。そのまま伝わったであろうことに安心すると同時に、過去にカタカナ英語に苦しめられた経験から、実際にそのまま使えるのか、厳密にはもっと正確な言葉が存在するのではないかと調べたり、同僚の使い方に意識を払ったことがあります。
今回の記事では私たちが日本語で使う「クレジット」に当てはまる言葉をいくつか紹介します。
credit
credit の語源はラテン語の "credere"(信じる)から来ていて
信用、信頼
名誉、功績
賞賛に値すること
という意味へと発展していったようです。「制作者のクレジット」は特に 2 と 3 の意味で使われていると言えるでしょう。

I added a credit field for the template creator to the template page layout.
テンプレートページのレイアウトに、テンプレート作成者用のクレジット欄を追加しました。
Have you added the credits for all team members?
全てのチームメンバーのクレジットを追加しましたか?
和訳にはなっていませんが「クレジットを入れる」のような動詞として使うこともできます。「制作者として表記する」ことを意図してはいますが、単に表記されることよりも名誉や功績として認めるような意味合いを含むことに留意が必要です。
We need to credit the photographer in the footer.
フッターに写真家のクレジットを入れる必要があります。
How would you like to be credited in this project?
このプロジェクトでどのようにクレジット表記されたいですか?
Please credit me as the lead designer.
リードデザイナーとしてクレジットしてください。
attribution
著作権や知的財産権の文脈で使用され、作品の原作者や出典を明確に示す際に用いる。ストックフォト系のウェブサイトで目にすることが多いです。
Please ensure all stock images have correct attributions.
全てのストック画像に正しいクレジットがついていることを確認してください。
We need a separate attribution page to include the font licenses.
フォントのライセンス情報を含めるため、別途クレジットページが必要です。
credit と同様に動詞として使うこともできます。

We must attribute this illustration when using it under Creative Commons.
クリエイティブ・コモンズの下でこのイラストを使用する場合は、制作者の表記することが必須です。
The photographer asked us to attribute the images properly.
写真家から、画像の制作者を正しく表記するよう依頼がありました。
byline
出版やメディア業界で使われることが多く、記事や作品の制作者名を示す行や箇所を指し、作品のタイトルの近くでよく見かけます。私は同僚のライターが使っているのを見て、これ自体に名前があるのかと膝を打ちました。

We should have bylines on content when possible in order to build authority on topics we want to get read.
コンテンツには可能な限り著者名を入れた方がいいと思います。特に、私たちが専門性を確立して発信力を高めていきたいトピックについては。
The blog template should include a byline for both the designer and developer.
ブログのテンプレートには、デザイナーと開発者両方のクレジット欄を設ける必要があります。
FEATURE
ソフトウェアやウェブサイトでクレジットを表記する
映画やアニメ、ゲームのエンドロールのように、エンターテイメント業界では、制作者のクレジットが必ず出てきます。制作や協力した人への敬意を示したり、載せられている名前から信頼を与えるなど様々な役割を果たしており、作品を構成する重要な要素になっています。
ソフトウェアやウェブサイトには制作者をクレジットする慣習がありません。道具やビジネスであるために作品的な捉え方がされないことや、更新をするという概念のために明確な完成や終了の区切りが無いこと、エンドロールを見せるようなタイミングが無いことなど様々な理由が想像できます。
逆にクレジットの掲載に意識を及ばせているソフトウェアやウェブサイトに出会うと、制作者たちへの敬意や、制作者たち自身の作品としての意識を感じさせられて嬉しくなることがあります。